『ぶ…部長!!大丈夫なんで降ろして…』




『いいから。じっとしてて』





あたしは恥ずかしくてたまらないのに。




部長は平気な顔してすたすたとゴールへ向けて歩き出した。




『部長…重いから降ろしてください……もう大丈夫なんで…』




あたしはゴールに着く前に降りようと必死なのに、



部長は全く降ろしてくれる気配がない。



『大丈夫。俺鍛えてるし全然平気。』




『もうホント歩けるんで…!!!』



何を言っても何回言っても無駄だった。




『いいから、ちゃんと俺に掴まってて』



とだけ繰り返す部長の頑固さに、
あたしは降りるのを諦めて、部長の首に腕を回した。




でも、ゴールに近づいてきても全く降ろす気配がない。