『あ、ごめん、そろそろ社長が帰ってくるから……』 バイト仲間の話をしている最中で、結崎さんが急に早口になる。 「あ、すみません。それじゃ」 『うん、おやすみ』 「おやすみなさい」 あっけない電話の終わり方。 「またね」と次の約束などない。 だけど、結崎さんが電話をかけてきてくれたことがとても嬉しくて、些細なことなど気にもならなかった。