どこからか聞こえてくる小鳥の冴えずりに、
何となく気づく。


戻ってきた意識を感じて、
ゆっくりと目を開けると、
私は、布団の中にいた。


「……」


仰向けになったまま、
静かに辺りを見渡す。


仕切られた障子と
年代を感じさせる古い天井。


外からの陽の光だけの明るさ。


「何時…かな」


誰もいない空間は、
静まり返っていた。



ふと、
壁に
カレンダーが掛っているのに気づく。



「え?…」



私は、
カレンダーの西暦を見て、
もう一度、
カレンダーを見直した。


そして、
何度見ても
その西暦であることを確認する。


「1947年…って?……」


私が呟いたとき、
部屋の障子が開いた。

陽の光が、部屋に差し込む。


「あっ、目が覚めました?」


逆光からの暗いシルエット。

眩しさに目を細めながら、
声で、子犬の女性だと察する。