「まさか、こんな早く気付かれるのはね」



やっぱりそうだったんだ。


「初対面なのに名前を知ってるなんておかしいに決まってるじゃん。
普通は気付くと思うよ」

「君、鈍感だと思ったから」




……は?

私ってそんなに鈍感そう?





さぞ、間抜けな顔をしていたのだろう。


目の前の彼がまたクスクスと笑い出して言う。


「冗談だよ。さすがだね、学年首席の小野田実沙さん」



意味深そうににっこりとした笑みをこちらに向けて彼はそう言った。