しばらくしてから、

「お前なんかに言うのはもったいない。」


そう言った柳矢は、あたしの手を引っ張った。



「明里、行くぞ」


あたしは急なことにびっくりしていて言葉が出てこなかったから、うん、とだけ頭を縦に振った。







「ふう、」



またいつもの屋上に戻ってきたあたし達。

でも、今日のあたし達にはいつもの雰囲気がない。



「お前、何やってんだよ」

あきれたような柳矢の言葉。



「え…」


だって仕方ないじゃん。
いつものあたしならこれくらい言えたはず。なのに、どうして何も言えないの?