出航のとき

すべてが輝いていて、
一人一人が夢の途中。
もがきながら、
光があると信じて未来に向かってた。

私はただ独り、
夢を明かすことも出来ずに。

誰も本当の自分を見ていない。
何もありはしない。
持っているのは自虐とそれに激しく抗する志だけ。

個人競技は勝てば勝つほど孤独になる。
だから心が熱くならねばならない。

ぐらつきかける自分を信じ、
忍耐強く指導し続けるコーチ、
自分を極限まで高めるライバル、
節操の無い気ままな観客と、
固唾をのんで見守る家族や大切な人たち

因習や見栄や気取りや、
臆病や不信を
何振りかまわずかなぐり捨てて、

自分を閉じ込め、
もやもやさせている壁を、
勇気で突き抜ければ、
勝利の美酒と、
今まで見えなかった、
陶酔と憧憬の景色が見える。

人前で自分を出し切る快感を、
一度でも知ったら、
何度でも戻れる。
人生の波濤を切り開くことが出来る

未来も過去さえも
今の自分ですべて決まる。

君にしか出来ない使命
僕にしか出来ない使命

きっと世界のどこかで、
誰かが僕らの登場を待ちわびている。


動物となりつつある、
欲望や快楽の飽くなき肥大に、
腐乱しゆく社会にあって、

キミは刹那に生きる?
享楽にふける?
無常や諦観に浸る?
憎悪や不信に逃げる?

尊い人生を狂わせる戦争や天変地異。
動乱の長き人類の歴史に淘汰されて生き残った、
本物の人生の羅針盤を、
キミは必死に探している。

愛や義すらも包摂し、
澄んだ鋭く優しい瞳で、
世界を睥睨し、
潮の香薫る海風に、
誇り高く帆を張ろう。