呆然と、疾風は走り去る静乃を見ていた。



あの顔。



傷ついたあの顔。



静乃は、どう思っただろう？



ただ、ビックリしただけかもな。



俺のこと、多分男としてみてないだろうし。



自嘲が混ざった笑みを浮かべたせいで、花が声をかけてきた。



「どうかしました？」



したよ。



俺、静乃に嫌われたかもしれないんだぞ、“女ったらし”って。



約束の前に女に抱きつかれてたら、普通引くだろう。



「あの子、知り合いですの？」


「ああ。
お前のせいで勘違いされた。」



せっかく、静乃が誘ってくれたのに。