哀しかった。



死ぬほど哀しかった。



でも、涙は出なかった。



これで、お別れだ。



2人で出かけるのも、会うのも。



私も、そろそろ父様に結婚のことを言われていたし、潮時なんだ。



固まっていた身体をなんとか動かし、後ろを向こうとしたその時だった。



疾風が


後ろを


向いた…。



目が、合った。



目に見えて、疾風が固まる。



静乃…。



そう、口が動いた。



次いで、一歩前に足が出る。



疾風に抱きついている女の子が、不思議そうに疾風を見上げている。