頼む、帰ってくれ。



「大事だ。
俺の一番大事な約束なんだ。」



人生で一番、大切な女(ヒト)。



静乃との時間を奪われたら、俺は生きていけない。



「だから、離してくれ。」



着物が傷つかないように、気をつけて腕を振り払う。



静乃が俺に選んでくれた着物だ、破ってたまるか。



無事、着物は生還した。



…後で綺麗に洗わなきゃな。



失礼だろうが、マジだ。



「じゃあ。」


「待って!」



止めてくれ、そんな声出すの。



気味悪りぃ。



疾風はここまで生理的に嫌いになった相手は、花が初めてだ。