外に出て、天を見上げていると、甘ったるい声が飛んできた。



「疾風さ~ん。」



うげ。



内心、疾風は本気で呻いた。



強張って体が動かない。



下を向いたら、見てはいけないものをみてしまう。



それもあった。



「どうしたんですかぁ?」



止めてくれ、まさか、まさかコイツが来るなんて…。



ガク、ガクと壊れた機械のように下を向く。



声の主、昨日の見合い相手である花がいた。



なんでも、両親は“花のように可愛らしく”なって欲しいと名づけたらしい。



確かに、花の蜜のように甘ったるいな。



疾風は昨日、他人事のようにそう思ったのだった。



今、現実として襲い掛かってきたが。