「まさか、覚えてないとか言わないよな?」

意地悪く片方の口角を上げる赤石駿平。

私はその問いかけに、ふふっと笑うだけ。

向き合った私たちはお互いの鼻が引っ付きそうなぐらい近く、胸がザワつく。

でもそのザワつきはなんだかとても心地よく。

自然と瞼が閉じていった。

赤石駿平のひんやりとした掌がそんな私の頬に触れ、その熱奪い取っていく。

昨日はあんなに熱いと思っていた掌だったのに…。