父はある新聞社の社長だった。

やり手で尊敬するには値した。

しかし何かにつけて

威圧的であった。

価値観を押し付けられて

いるような圧迫感。


そして、流星は知っていた。

父に愛人がいることを・・・


ある日、父とその女が

有名なホテルに入ってゆく場面を

見てしまったのだ。


何も言わずに父に従う母を

見て育った流星には

それが許せなかった。


エリートの父と母への裏切り。

立ちはだかる大きな父親という

存在が、まさしく流星には

自分自身のコンプレックスの

象徴でもあった。