中学校からそれほど離れていない所にある一件の写真屋さん。


「すいませ~ん
これ、現像お願いします。」


そう声をかけると
奥の方から70才位の眼鏡をかけ白髭をつけたおじいさんが出てきた。



「はい、いらっしゃい。
現像だね?
30分位で出来上がるけど待ってるかい?」


おじいさんは慣れた口調で
僕に問いかけてきた。



「あ、それじゃそこのテーブルで待っときます。」



「そうかい、それじゃぁ
すぐやってくるからお茶でも飲んでて。」



そう言っておじいさんは
奥の部屋からお茶の入った湯のみを持ってきて

僕の座る机において仕事場に入っていった。



僕は出されたお茶を一口すすりながら受験のことを考えていた。



(え~と、明日が合格発表の日だろ?

明後日が学校に行く日か。)



(…一本勝負で受けたすぐ近くの師水高校。
まぁ、なんとか勉強したから受かるだろう。


…でもひとみちゃんは頭いいから内地の有名高校に行っちゃうんだろうな~…

まぁ、しょうがないけどね…。



もう会えなくなる…

だからこそ最後の思い出に

ひとみちゃんの写真を隠し撮りしたのだった。