『日が沈むまでに戻って来る。』そう言ったアサガはその言葉通りに帰って来た。
窓の外を見ると空は茜色に染まり、その色は部屋の中にまで届いている。
何をするわけでもなく、ただぼんやりと時を過ごす。
それは暇なわけでも退屈なわけでもなく、とても落ち着ける時間だった。

目の前に座っているジンはテーブルの上に、小さく豆粒程の色取り取りの小石を広げ選別のような事をしている。
赤、青、黄、緑、黒、白。霞みかかったそれらは陽光を淡く反射させていた。

「ただいまー。」

ご機嫌な声で戻ってきたアサガは両手いっぱいに荷物を抱え、両肩にも麻袋を提げている。

「おかえりなさい。」
私が言うと口元を綻ばすアサガ。

「どうだった?」

ジンは相変わらずの口調で訊ねた。
それに答えるアサガは一瞬目を泳がせたように見えたが、ひょっとしたら私の気のせいだったのかもしれない。

「問題なし。頼まれた物もちゃんと買ってきた。」

私の懸念を振り払うかの様に明るく言ったアサガにそう思った。