「え、し……紫海ちゃんだったかしら?ごめんなさいね?うちの子が」



女の子のお母さんらしきキレイな人が頭を下げる。



「いえ!気にしないで下さい」



確か、佐伯さんの知り合いの水野さんだったような。



「ママ!わたしのきょうがね?このオバチャンにうばわれちゃったの!」



最近の子って、こわっ……きょうが二股するはずないのに。


「……嘘言うなんてダメよ?まぐちゃん」



水野さんがめっと言いながら子供を叱る。



まぐちゃん?って名前かな?



「おっ!まぐろ来てたのか!オラと遊ぶか?」



「え!?まぐろ!?」



不意に聞こえた佐伯さんの言葉にあたしは、目を丸くした。


「どうかしたか?紫海」



佐伯さんが、まぐろ?ちゃんを抱っこしながらあたしに近寄って来た。



「まぐろって……名前ですか!?」