「そういや、葉月先生居るか?用あって来たんやけど」



用あって水洗トイレに居座ってたのか、オッサンは……



「なんやその目、ええやんか!水洗トイレで、新聞見るのが立派なサラリーマンっちゅうもんやで?」



「オッサンサラリーマンって事か?」



「チッチッチ!ドブ掃除のオッサンや!」


俺の目の前に、人差し指を突き刺し左右に揺らしながら幸村は言う。



「は!?そんなドブ掃除の仕事ってあるのか?」



「恭平……多分、色々な事してるんだよ」



「は……変な仕事だな」



「なんて!嘘ぴょん!ホンマは、何でも屋や。ある時は、ドブ掃除のオッサン。またある時は、女装のコンビニ定員。結構可愛いんやで?またまたある時は、タイヤを運ぶ、運送屋。
その実態は、なんと普通の三十路超えの幸村慎太郎やで?」


まじかよ、俺と年齢近いのかよ。



「恭平とあんま変わんないんだね?」



「みたいだな」



改めて俺は、オッサン……幸村を全身じっくり見ることにした。