緊張はまだ胸の奥に残されていたのだが――それでも俺は、何か肝心な事を忘れてしまったかのように彼女の寝姿に吸い込まれるかのように魅入られてしまった。

　頭の中にモヤがかかったような気分に襲われながら、そんな場合では無いと頭では理解しているものの――何故だろうか、俺は彼女を観察してしまう。

　俺よりは少し身長が低い感じだろうか？
　眠っているので、正確な身長の比較は出来ないのだが。
　横向きになっているので、その顔は半分しか見えない上に、眠っているのだから当然のことなのだが、目を閉じてしまっているからキッチリとは顔を認識できないが……それでも――ちょっと童顔っぽくて俺の好みの顔だ。

　瞼を閉じていても、瞳が大きなことが分かる。小さいが、それでも筋の通ったキレイな形をした鼻に、まるで桜の花びらのような色合いの唇――本当に吸い込まれそうになる。