だが、少しだけ勇気を出して元の場所から一歩だけ足を踏み出して近付いてみると――寝転んでいる彼女の身体が小さく上下に動いているのが確認出来た。
 どうやら眠っているだけのようだ。
 彼女が死体ではないことに安心したのだが、一つの不安が解消されると同時に、再び『どうしてこんな場所で、というよりも――何で俺の部屋に女の子が全裸で寝ているんだよ!?』という強烈な疑問が頭に湧き上がってきたのである。

 俺の家庭は……父も母も一人っ子で、俺自身も一人っ子―だった。
 現在は両親ともに他界してしまっているので、俺は不本意ながらも気ままな一人暮らしというものを満喫しているのだが。
 両親の祖父母ともに他界してしまっているので、親戚と呼べるような人も居ない。
 少し寂しい言い方をすれば――俺は『天涯孤独』というやつなのだ。

 俺の家に泊まりに来るような親戚や友達なんて存在しない……ましてや、いきなり全裸で眠るような女の子なんて絶対に居るはずもない。