アタシは携帯小説が大好き。


携帯という身近なツールでいつもで好きなときに読めるし。

なによりいろんなストーリーがあってその中の主人公になったような気分にもなれるから。





いつか自分が本当の主人公に
なれたらいいな。





2学期が始まって2週間。

9月とは名ばかりでまだまだ暑く
本当に涼しくなるのだろうかと
思わせるような日々。


私はいつもこの場所から
あの人を見ていました。


7時12分発の
京都出町柳行き
特急に乗る

城南高校のあの人。


とても背が高くて
180センチくらいは
あるかもしれません。


少し長めの前髪を
かきあげる姿が
とてもステキな人です。


同じ車両に乗る勇気は
ないから一つとなりの
車両に乗ります。

友達の麻友(まゆ)は

「どうせ愛乃(よしの)の
存在なんか気づいても
ないんやし一緒の車両でも
かまへんやん」

って言いますが
やっぱり勇気が
ありません。


だから一つとなりの
乗車を待つ列。


私はそこに並び毎日
あの人を見ていました。

ぼんやり自分の影を
ながめてるフリをして。

1年生のときから
私はいつも
この時刻の電車の
この車両に
乗っています。



あれから1年半
経ちますが
彼の存在に気づいたのは
2年になって2学期が
始まったつい最近です。




私は彼のことを

あまり知りません。




同じ駅から乗るから

もしかしたら
同じ中学出身かと
卒業アルバムを
引っ張り出して
調べたこともありました。


でも彼らしき人は
見つかりませんでした。

きっと他の
中学だったのでしょう。



だから彼について
知っていることといえば
同じ駅から同じ時間に
乗車すること、

制服から城南高校に
通っているということ、

制服のネクタイの色から
私と同じ2年生だということ。


…それくらいです。


私は毎朝、

彼に会えるだけで
満足でした。

途中の駅で降りていく彼。


秋の風に黒い髪が
なびいてその姿が
とてもステキです。


こころの中で

「いってらっしゃい、
また明日」

私はそうつぶやくだけで
満足だったのです。



でも人間というのは
どこまでも
欲深いものです。


私は本当にそれだけで
満足だったのに


あることをきっかけに
もっと彼のことを知りたい、

彼に近づきたいと思うように
なりました。