男は、昨日役所で何も言わずに帰って言ったあの人だった。



『ずっと君を探してた。』


男は言った。

あんまりセクシーな声だから、くらくらとする。

でもあいにく、わたしは彼を知らない。

『どちら様ですか?』

わたしが問うと、男はまたまたセクシーに、けれどすごく寂しそうにため息をついた。