「初めまして、田辺弥生です。」

わたしが発見されたのは3月27日、春休みだった。

春休み開け、わたしは他の小学一年生と同じように入学式に出て、クラスで順番に自己紹介をしたりした。

でも小さな町で、記憶のない少女の話は有名だった。


子供なりの遠慮か、誰もわたしの詳しい話を聞かない中、一人だけわたしに絡んできたのが拓也だった。


「お前、記憶ないの?」