時計を見た時には、すでに九時を過ぎていた。


「最近、たるんでないかい?今まで唐沢君は遅刻も欠席もしたことなかったじゃないか。」

遅刻したわたしは、今、山川さんにお説教を受けている。

「何かあったのか?悩みの種とか。」

悩み…。

実は、記憶を失う前の友人が、わたしを10年以上探していて、わたしとアメリカで歌手デビューしてほしいらしいんです。