わたしって、ササキって名字だったんだ。

『両方の家が音楽好きだったから、俺たちはすぐ仲良くなった。でも君のお父さんが、事業に失敗したんだ。』

アレックスは一つため息をついて、

『ここからは少し辛い話になるけど、大丈夫?』

と聞いた。

思わず、生唾を飲み込む。

『覚悟はできてるよ。』

なんて、覚悟なんてぜんぜんできてないけれど。

でも聞かなきゃ何も始まらない。