車に乗り込むと、白髪の老人が運転席に乗っていた。

いかにも、って感じだ。

御曹司とかが「じいや」なんて呼びそうな、いかにもお付きの人、みたいな。


その「じいや」はわたしの顔を見るなり号泣しだした。

『アイお嬢様…ご立派になられて…。』


見知らぬ人が自分を知っているというのは心地よいものではない。

でも「じいや」が泣いているのを見て、何故か少し温かい気持ちになった。