どうしようかと立ち尽くしていると、黒塗りの車からアレックスが降りて来た。

「………。」

後部座席から降りて来たところを見ると、運転席にいるのはアレックスではない。


『やあ。』

アレックスがにっこりと笑いかける。

『…これ、タクシーには見えないけど…。』

『ああ、うちの運転手だよ。俺が一人で日本に行くって言ったらついて来ちゃったんだよ。親より心配性なんだ。』


この人、お坊ちゃまだったんだ。