「……中は手つかずなんだね……」

私は、そんなに広くない教会の中を見てまわり、

ふと片隅にあったオルガンを見つけた。

「先生、オルガンがあるよ…」

「オルガン?」と、先生がそばに寄ってきた。

「これ、音出るのかな?」

私は、鍵盤に指を触れてみた。ヴゥーというオルガン特有の音が響いた。

「ちゃんと鳴るんだ。

先生、私オルガン弾けるんだよ?」

「そうなんだ…じゃあ、なんか弾いてみてくれないか?」

「うん……」と、私は考えて、それから鍵盤に指を置いた。