「教会だ……」

「ああ、今はもう誰も使ってないんだがな…」

教会は、扉があいていて、私たちは中をのぞき込んだ。

「本当だ…誰もいないね…」

「少し前に、場所を移したらしくてな…。

ここも、近く取り壊されるらしい…」

「壊されちゃうの…?」

三角屋根のかわいらしい教会が、なくなってしまうのは、

なんだかひどくもったいない気がした。

「うん…ちょっと、入ってみるか?」

私と先生は、あいている扉から、中へ入った。

教会の中には、まだ赤いじゅうたんが敷かれたままで、

ヴァージンロードの両側の木のベンチも、

その先の祭壇も、そのままになっていた。