中矢先生が病気を理由に学校を辞めてしまってから、

私は、もうずっと自分の気もちをもてあましていた。

それは、高校を卒業して、就職が決まり、

働くようになっても、まるで変わらなかった。

先生のいない日々は、さびしくて単調で、

私は、心の中に空いた穴をなかなか埋められずにいた。