A3のお客様がお会計を済ませ、店から出て行く。


「ありがとう。」


男性がそっと那槻の耳元で伝える。


「また、来ます。ご馳走様でした。」


笑顔でエレベーターに乗って行った姿を、那槻は静かに見送った。

自然と綻び、顔が熱くなるのを感じる。


まだ、ドキドキしていた。