「祥ちゃん…」

翔くんがすっかり寝入ってしまったのを見てから梓は俺の顔をしっかりと見つめた。

「本当にありがとう」

何を今更言うんだろう。

俺が口を開こうとしたら

「私、やっぱり田舎に帰る。
その前にこんな楽しい思い出をありがとう」

梓の目はもう、悲しい色をしていなかった。

「話し合いではもう解決出来ないから裁判で決着を付けようかなって。
私の事はいいけど、子供にはちゃんと養育費を払って欲しいから」

俺はただ、聞いているしかなかった。

これは…

俺が口を出せない。



でも…

でもでもでも!!!

これ以上、俺は梓が苦しむのを見たくない。

早く、解決させてあげたい…