懐かしい光景が目の前に広がる。



これは…幼稚園くらい?



確か、そーちゃんがレースで大怪我をしてお見舞いに行った帰りだった。



「祥太郎、お前は俺とは血が繋がっていない。
でも、お前の父さんは俺しかいないから…」

そう言われて抱きしめられたあの感触。

温かいのに寂しいような。

何ともいえない雰囲気だった。

「えっ、じゃあ僕と祥太郎は何なの?」

その横では兄ちゃんが首を傾げている。

「本当はイトコ。
母さんと祥太郎の本当の母さんが姉妹なんだ。
でも、本当の母さんは祥太郎を俺達に預けて…」

つまり、俺は捨てられたんだ。

「でも、僕の弟は祥太郎だよ?」

兄ちゃんは。

凄い目で父ちゃんを睨んでた。



チノツナガリナンテカンケイナイ



「じゃあ、父ちゃんは祥太郎の事、嫌いなの?」

兄ちゃんの言葉に父ちゃんは焦って。

「違う、そうじゃなくて、真実を隠していたらいつか揉めるかと…」

「そんなの、別にいーじゃない。
僕には父さんは父さんで、祥太郎は祥太郎なんだよ。
血が繋がっているとか、そんなの僕には必要ない」

兄ちゃんはそう言って俺をギュッ、と抱きしめる。

「大丈夫!
祥太郎は一生、僕の弟だからね…」