「でも!」

ミーティング後。

さっさとホテルに向かう俺の後を恭平が追いかけてくる。

「…何?」

恭平は俺に変な気を使うからあまり合わない。

「今回、何が何でも勝ちたいって先日の記者会見で言ってましたよね?
じゃあ…」

俺は右手を上げて恭平を黙らせた。

「勝ちたいのはどのチームも一緒だよ。
…セッティングを俺に合わせても恭平がそれで走れるとは限らないから」

肩をポン、と叩いて俺は足早に歩きはじめた。