「私も決めた」

雪野は俺を見てニッコリと微笑んだ。

「私も離婚するわ、このままじゃよくない、私も旦那も」

雪野の目は今まで。

無気力と哀しみに溢れていた。

けれど、今、その目は力強い。

「別れて一から考えるわ。
ずっと好きだった人の事も一から…」

そう言うと俺の体をギュッ、と抱きしめて

「あんたみたいないい男…
もっと若い時に出会いたかったな…」

更に力を込められた。



「…どうも、ありがとう」

俺もそう言って雪野を抱きしめる。