「別れた方がいいよ」

そう、アドバイスをくれるのは中学の時から親友の阿倍野 紀香。

紀香は今もまだ独身で事務の仕事を熟していた。

「布施くん、子供が出来てから変わったよね。
…触るのも怖い、みたいな。
今のままじゃ、翔くんにも良いことないし」

紀香はそう言ってジュースを美味しそうに飲む翔を見つめていた。

「…そうだけど、やっぱりこれから先が大変。
私、ずっと専業主婦だったし。
いざ、働こうと思っても働けない。
…こんな事を言うのは情けないけど」

あたしは目の前にあるティーカップに視線を落とす。

「…いっその事、彼氏作っちゃいなよ!」

紀香は少しだけ笑って

「布施くんから別れようって言ってるんでしょ?
梓に就活が無理なら婚活した方がいいって」

私は顔を上げた。