梓が借りていたマンションは小さなワンルームだった。

本当に緊急で借りたのがわかる。

中に入ると荷物はほとんどなくてあるのは最低限の着替えと日常品、食器類。

5分もあれば片付く。



「祥ちゃん、何か飲む?」

コンロ前で振り返った梓の笑顔が。

あまりにも可愛くて。

今更ながらにドキドキした。

昨日も一昨日も。

寝ずに抱いたのに。

こんなふとした瞬間に。

こんなにドキドキしているなんて。



遠い昔にどこかに置いてきたモノを今。

必死になって俺はかき集めているのかもしれない。