市役所を出ると次は梓が借りている部屋に行く。

荷物を今日中に俺の家に持って行こうと思って。



「祥ちゃん、ごめんね」

車の助手席で梓は唐突に呟いた。

「…気にするな」

梓をちらっと見ると。

凄く切なそうな顔をしている。

俺は梓が武紀との結婚生活で負った傷をわかってあげる事は出来ないけど。

こういう用事に付き合ったり、そういう事で少しでも梓が楽になれば。

それでいいんだ。