「梓」

武紀の、冷ややかな視線が辛い。

私はそれでも。

笑顔を作ってみせた。

「…こっちへ来いよ」

誘う時は。

自分のストレスを発散する時。



私は…!

心の中で叫んでた。



他の女を触った手で

ワタシヲサワラナイデ



でも、抵抗も出来ずに。



肌に触れられても。

髪を撫でられても。

その冷たい目が。

私にもう、何の愛情もないという何よりの証拠だった。