「祥ちゃん…」

お腹が二人の間を邪魔するから、俺は後ろから梓を抱きしめる。

「何?」

「一体…どんなに遊んできたのよ」

…バレたか。

「変な噂は本当だったんだ」

「いや、確かに遊んでたけど、それは返上したよ。
…梓と再会してからは」

「ホント?」

「ホントだって」

後ろから抱きしめていたから。

梓の表情はわからなかったけど。

でも。

ちょっと待て。

「…何で、俺が遊んでるってわかったの?」

ギュッ、と腕に力を入れる。

「普通、独身で妊婦を相手するなら戸惑いとかあるはずだし…」

「いや、妊婦は俺、初めてだから」

本当に、妊婦はさすがになかった。

でも相手が梓だから。

戸惑いなどない。

「…タイプは違うけど扱い方が旦那とよく似ていたから」

今、胸を針で刺された気分だ。

幸せな気分を暗闇に投げ込まれた。