「本日は本当にありがとうございました!」

ピット上にあるチーム関係者の席で最後の挨拶をする。

深々と頭を下げると拍手が沸き起こった。

ようやくホッとした様子で微笑む事が出来る。

みんなに囲まれそうになって

「すみません」

俺はそう謝って道を開けて貰い、梓の元へと歩き始めた。

「祥ちゃん、おめでとう」

梓が笑顔で言っている。

俺は真剣な眼差しを梓に向けた。

「…あんな奴とはさっさと別れてしまえ」

そう言って梓の肩を手でしっかりと押さえ付けた。



このイベントの最後を飾る打ち上がる花火の音が聞こえる。

けれど、今、この場所は静まり返っていた。