あっという間に、朝が来た。

アタシはまだ、キスの事を考えていた。

「うっす!亜矢」
「あ・・・麻美」
「元気ないじゃん・・・何かあった?」
「ううん!へへへ・・・大丈夫」

アタシは、笑顔を作った。

「亜〜矢、バレバレだぞ」

小学校から一緒の麻美。
バレない訳がなかった。

「実はね・・・」
「うん」

アタシは、昨日の出来事を全て話した。

ファーストキスのこと・・・

ご飯も食べられなかったこと・・・

一日中泣いていたこと・・・

麻美はただ、頷いてくれた。


学校に着いた。

話に夢中になっていたアタシたちは、千夏の存在を忘れていた。

「亜矢、麻美、おっはよぉ」
「テンション高いじゃん!何かあった?」
「実はうち、裕樹と付き合うことになり・・・」
「えぇぇぇぇぇ!!」

麻美は、裕樹って人のこと知ってるのかな・・・
アタシは誰か分からなかったから、イマイチな反応だった。

「裕樹って・・・誰?」
「ほら、スポーツ刈の」
「亮と智也くんと仲いい人」

・・・あぁ、あの人か。
やっと分かった。

でも、知り合ってから一日で・・・
そう思った。

「実はね・・・うちも、亮とさぁ・・・」
「えぇぇぇぇぇ!!」
「麻美まで・・・」
「ハハハ!あとは、亜矢だけだよ」

またアタシだけか・・・

「智也くんはどうなの?」

何も知らない千夏が聞いてくる。

ファーストキスを思い出す・・・

「千夏?亜矢、やっちゃったらしーよ」
「えぇぇぇぇぇ!!早いよ」

千夏、もしかして・・・

「キス・・・だよ・・・?」
「・・・なんだぁ!ビックリしたぁ」

やっぱり・・・

それは早いよぉ!!

「ハハハ」

思わず笑ってしまった。


昼休みになった。

でも、やっぱり食欲が湧かない。

「亜矢、食べないの?」
「うん・・・食欲出ないや・・・」
「亜矢!それは、恋の病だぞ」
「え・・・恋?」
「よし、D組にしゅっぱーつ!」
「イエーイ」
「え・・・ちょっと待って!」

智也に・・・会うの・・・?
待ってよぉ・・・