青い空が、限りなく広がっている。

この青い空の下で、アタシたちは出逢ったんだね。

二人が歩んだ道のような、この青い空の下で。


「おはよっっ亜矢」
「おはよう、麻美」

アタシは磯崎亜矢。
公立高校の一年生。

そして、小学校からの親友、瀬尾麻美。

「おはよう亜矢、麻美」
「おはよう千夏」

高校になってからの友達、桑原千夏。

アタシたちには、共通点があった。

彼氏がいないこと。

周りのほとんどの人に彼氏がいる。
だから、話が合わないことが多い。

でも、この三人でなら、なんでも気軽に話すことが出来る。

ただアタシは、恋をしたことがなかった。

恋のしかたを知らなかった。

だから、二人に好きな人が出来ると、アタシは話に入ることが出来なくなった。

「あっっ!!麻美、マスカラ変えたでしょ」
「分かる〜?亜矢が気付かないからさぁ」
「え・・・何か違う?」
「だから亜矢は」
「うんうん」
「もしかして麻美、好きな人出来た?」

麻美に・・・好きな人・・・

「うん・・・」
ちょっと照れる麻美。

「誰なの〜?イケメン?」
千夏は、戸惑う事なく質問攻め。

「D組の亮」
「亮・・・」

麻美の恋の相手・・・長谷川亮。
クラスも違うし、あまり知らない人。

「どんな人?」
「行ってみる?D組」
「うん」

アタシたちはお昼休み、D組に行った。

「あ、いたいた!」
「え?どこ?」
「そこの、キャッチボールしてる人」

教室を見渡すと、チャラそうな三人がキャッチボールをしていた。

「どれ?」
「金髪の」

その中でも一番目立っている、金髪の男。
その人が、麻美の恋の相手。

「あの!亮くん!」

麻美が声をかけた。
亮くんは、その声に気付いた様子。

亮くんと共に、茶髪の男とスポーツ刈の男がこっちに来た。

「俺・・・亮だけど・・・何か用?」

冷たそうだな・・・
そう思ってると、茶髪の男と目が合った。
目を反らしたアタシ。

「なぁ、俺、智也」
「え・・・あ、アタシは・・・」
「知ってる。亜矢だろ」
「え・・・う、うん・・・」