「亜矢・・・」

隣で智也が手を握る。

「智也・・・あ、赤ちゃんは?」
「・・・」

何も答えない智也。

「赤ちゃんは?」

アタシはもう一度聞いた。

「亜矢・・・お前は充分頑張った・・・」
「え・・・」
「流産だ・・・」
「・・・え・・・」

涙が溢れた。

「・・・アタシのせいだ・・・」
「亜矢のせいじゃねーよ!」
「アタシのせいだよ!」
「違うよ!」

ものすごい罪悪感を感じた。

「アタシがちゃんと守れなかったから・・・アタシが・・・アタシが・・・」
「亜矢!お前は悪くないんだよ!」
「智也・・・ごめん・・・ごめんね・・・」
「謝るなよ!」
「ごめん・・・ごめん・・・」

アタシは、智也に謝り続けた。

「亜矢!俺は、お前が助かっただけで充分だ」
「え・・・」
「もちろん、赤ちゃんも大事だけど、俺にとって、一番は亜矢、お前なんだよ!」

一番はアタシ・・・

正直、嬉しいと思っていいのか分からなかった。

でもアタシは、智也にこう言った。

「ありがとう」