本当なら先週の土曜に会おうかという話しもあったのだが、変な殺人事件に巻き込まれたり、またいざとなると踏ん切りがつかなかったりで伸び伸びになっていたのである。

タクヤ達も南紀近郊に住んでいるという話だが詳しい事は知らない。
近郊と入っても陸の孤島和歌山県では、少し離れてしまうと極端に交通の便が悪くなり、移動手段は専ら自家用車になることが多かった。

晶も免許は高校卒業時に取得したが今まで一度も運転はした事が無い。完全なペーパードライバーである。

3人の中で酒の飲めない真左人が車を出す事になり、途中でタクヤを乗せて、今晶が待っている新宮駅で落ち合う事になっていた。

今の時間は午後4時。これから3人で夕食をとり気分が乗れば少し飲みに行ってもいいかなと晶は思っていた。

タクヤとの2人きりだと少し怖いが真左人がいれば安心である。3人で会うならただの友情関係だと晶は自分に言い聞かせながら、晶はあたりを見回した。