店から出てきた二人は時折笑みを浮かべながら歩いている。さっきの店のホステスの噂話でもしているのかもしれない。

このままでは雄大に誘われるままに、拓海が常連になってしまうような気がして利那は打ちのめされた気分になった。

拓海が自分の体を求めてくるのも義務感からかもしれない。

経験の少なかった利那は夫とのセックスに十分満足していたが、男の拓海は妻だけでは満足出来ないのではないか?。

利那は決して豊かとは言えない自分の胸を思わず押さえて涙を浮かべた。

反射的に背は低いが豊満な晶の体を思い出し激しい嫉妬が沸き起こる。

男の雄大や義妹の晶に嫉妬している自分に半ば嫌気がさしながら利那はトボトボと家路についた。

北條家にかかわる人間の何かが少しずつ狂い始めていた。