相手が雄大だった事で少しホッとしたが二人は拓海とは縁が無いと思っていたような夜の店に入っていくではないか。

夫だって男だから遊ぶなとは言わない。だが結婚して数ヶ月しかたっていないのに夕食時の新妻との会話も犠牲にしてまで友人とキャバクラに行きたいのかと利那は泣きそうな気持ちになった。

(私のせいなの?……私に魅力がないから?……だったら何で結婚したのよ)

答えの無い自問を繰り返す。

勿論拓海は暴力をふるうことも酒に溺れる事もない。
利那には優しく接してくれるし稼ぎもいいから経済的にも恵まれている方だと思う。
ただ何となく自分に気を使っている風な態度が嫌だった。

義妹の晶に向けて喋るように、もっともっと自分にも心を許した笑顔を見せて欲しかった。