「また来て下さいねセンセイ」

満面の営業用笑顔を浮かべて深々と頭を下げられると、大きく開いたワンピースから胸の谷間がはっきりと見えて拓海は思わず目をそらした。

赤面してしまったのが夜で見えなくてよかったと思う。

男だから当然と言えば当然だが、新婚とはいえ綺麗な女性に人並みに興味はある。

だがどうしても教職という心の垣根が出来ている拓海は雄大のようにプライベートは別と割り切って遊ぶ事が出来なかった。

「どうして教師だって言うんだよ、ヤバイじゃないか」

エミという、どうみても十代のホステスに平然と身分を明かした雄大に、信じられないという顔を見せる。

「あいかわらず硬いな拓海は。こういう所じゃ割り切って楽しまなきゃ損だぞ。せっかく高い金払って奢ってやったのに」

当の雄大は全く平然として拓海の言う事など、何処ふく風である。

「よく言うよ。ここに来る前は死にそうに深刻な顔してたくせに。俺に打ち明けたらすっきりしたんだろ」