「結婚かあ。お兄ちゃんも何でお義姉さんと結婚したんだろ。そりゃよく見れば美人だけど……でも何かお兄ちゃんのタイプってあんなのだったかなあ」

「あんなのって……北條先生取られて寂しいのは分かるけど、そんな言い方しちゃ駄目だよ」

「別に寂しくなんかないわよ」

「よく言うわ、お兄ちゃん大好きっ子の癖に」

一通り話してスッキリした晶は真澄のコーヒー代を奢って店を出た。

「来週から春休みなのに夜になると寒いねえ」

真澄の言葉に頷きながら首をすぼめる。
帰宅方向の分かれ道までとりとめのない話をした晶は、手を振って真澄に別れを告げた。

いつものように真澄が見えなくなるまで手を振る。
真澄が早く帰れと言わんばかりに笑いながら晶を、手で追い払う仕草をした。