確かに昨日自分は沢崎映一という男とかかわりあった。その事は晶も知っている事である。

しかし知らない事もある。

一人暮らしの雄大はもっぱら夕食を外でとることが多かったので、昨夜も例に漏れず行きつけの大衆食堂に出かけた。

それだけで止めておけばよかったのだが、ビールを数本飲み干したせいで、少し良い気分になった雄大はマンションまでの帰り道にある繁華街で、呼び込みの男に誘われるままキャバクラに足を踏み入れた。

ホステスの女の子は皆美人で、露出度の高い服で擦り寄られれば普段は真面目な雄大とて、それなりに楽しかったし、いい息抜きになったと思った。

雄大の相手をしてくれたのは、エミという女で２２歳と言っていたが、どうみても未成年に見えた。

年令は幼くても体は立派な大人であるエミが、胸の谷間を殊更強調した服で雄大の愚痴を色々と聞いてくれたおかげで、飲めもしないブランデーをがぶ飲みした雄大は店をでるころには、かなり泥酔してしまった。

勘定を済ませるときには、そのあまりの高額さに一瞬目が覚めたが、あとはあまりよく覚えておらず、偶然店に居合わせた沢崎映一が自分のすぐ後ろをつけていた事にも全く気が付かなかったのだ。