「なあ今朝、市内で殺人事件あったらしいぞ、晶知ってるか?」

「うそぉ!知らない。義姉さん知ってる?」

「ううん、私テレビあんまり見ないから」

どうして拓海は自分よりも晶に先に聞くのか、そんな些細な事だけでもブルーになる。

「私知ってるわよ、お昼のニュースで見たから」

テーブルに料理を並べながら貴子が言った。

「本当に?信じられない。こんな静かな町で人殺しなんて。お兄ちゃんテレビつけて、ニュースやってるかもしれない」

「あっ、私つけるわ」

拓海にかわって利那がリモコンのスイッチを入れた。チャンネルをいくつか回してニュースを探し当てるが、生憎スポーツコーナーの真っ最中だ。

「タイガース今年はどうかなあ」

「駄目でしょどうせ。お兄ちゃんも好きねえ」