うつ伏せになっているのか、スニーカーらしき靴の裏がこちら側に向いている。

ジーンズであろうズボンは泥だらけで、ピクリとも動かなかった。

「ナチおまえ……」

足の部分だけで肌は全く見えないのだが、それでも、その二本の足がマネキンではない事が分かる。

恐る恐る吾郎はナチを先に立たせて、その足の持ち主を確かめる事にした。

前に進むにつれ背中に派手な刺繍を施したジャンバーが見える。
背格好からして男らしい。両腕は万歳するように上に突き出し、またそれも動いてはなかった。

その腕を見た瞬間、吾郎はそれが死体である事が何となくわかった。

突き出した手は不自然に折れ曲がり、手のひらが上になっている。
二の腕あたりには泥だろうか乾燥した血だろうか茶色いものがベットリとついていた。